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2008.07.01

山にナデシコのはなが

Mcookie
小さいころ過ごした
長野の、山あいの村。

道ゆくと
さまざまな草花に
鳥の声、
虫に石ころ。

こころ打つ何かに出会っては
持ち帰ることしばしば。

夏のころには
ナデシコが道をうめる。
凛とした桃色の花を
小さなてのひらで手折る。

ある夜は
ビンいっぱいのホタルを蚊帳にはなった。
幻燈のような一夜。

白樺のそばのちょうちょの亡骸。
おそるゝ青々とした鱗粉にふれる。
あのころ、一番焦がれた
ミヤマカラスアゲハ。


いまもあの、桃色の花を
ブローチのように、ぷちんと留め
くらしている
そんな気がする。

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